ビンポセチンについて

適応

次の疾患に伴う慢性脳循環障害による諸症状の改善:脳梗塞後遺症、脳出血後遺症

【用法】

1回5mg、1日3回。ドライシロップは用時懸濁して服用する。

【注意】

1.一般的注意

投与期間は、臨床効果及び副作用の程度を考慮しながら慎重に決定するが、投与12週で効果が認められない場合には投与を中止すること。

2.禁忌

a)頭蓋内出血後、止血が完成していないと考えられる患者〔出血を助長し、再出血を促すおそれがある〕

b)妊婦又は妊娠している可能性のある婦人〔動物実験(ラット、ウサギ)で胎児死亡、流産等の胎児毒性が報告されている〕

3.副作用

a)過敏症

ときに発疹、また、まれに蕁麻疹、痒み等があらわれることがあるので、このような場合は中止する。

b)肝臓

まれに黄疸があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には、中止するなど適切な処置を行う。また、ときにGOT、GPT、アルカリフォスファターゼ、LDH、γ−GTPの上昇等があらわれることがある。

c)精神神経系

まれに頭痛、眠気、めまい等が現れることがある。また、まれに患側肢のしびれ感、脱力感が増強されることがある。

d)消化器

ときに悪心、嘔吐、また、まれに食欲不振、腹痛、下痢等があわられることがある。

e)循環器

ときに顔面潮紅、のぼせ感等が現れることがある。

f)血液

まれに白血球減少等が現れることがある。

g)腎臓

まれにBUNの上昇が現れることがある。

h)その他

まれに倦怠感が現れることがある。

4.高齢者への投与

一般に高齢者では生理機能が低下しているので慎重に投与する。

5.妊婦・授乳婦への投与

a)動物実験(ラット、ウサギ)で胎児死亡、流産等の胎児毒性が報告されているので、妊娠又は妊娠している可能性のある婦人には投与しない。

b)動物実験(ラット)で乳汁中へ移行する事が報告されているので、授乳中の婦人に投与することを避け、やむを得ず投与する場合には授乳を中止させる。

6.その他

アセトヘキサミドとの併用により、低血糖が見られたとの報告がある。

【作用】

1.薬効薬理

a)脳血流増加作用

ア)(超音波ドップラー法及びキセノン133クリアランス法)脳血管障害患者(成人)の脳血流量を増加

イ)血流増加作用は、脳循環に対する選択性が高い(イヌ)

ウ)血管平滑筋弛緩の機序は、カルシウム依存性ホスホジエステラーゼ活性阻害(ヒト、ウシ:in vitro)、血管平滑筋弛緩のメッセンジャーのc-GMP増加作用(ウサギ:in vitro)によると考えられている。

b)血液流動性・微小循環改善作用

赤血球変形能増強作用(健康成人)、血液粘度低下作用並びに血小板凝集抑制作用(成人脳血管障害患者)

c)脳代謝改善作用

ア)脳内酸素消費量増加(イヌ)、グルコースの脳内取り込み促進(マウス)、脳内モノアミン代謝回転の促進並びに脳虚血時の脳内乳酸増加抑制作用・ATP含量増加(ラット)

イ)ヘモグロビン酸素解離能増加(ヒト赤血球:in vitro)

d)脳虚血保護作用

実験的脳虚血ラットのけいれん発現時間を延長、ラット脳ホモジネート試験で過酸化脂質生成を抑制。代謝物のアポビンカミン酸も同様の作用があるが弱い。

2.体内薬物動態

高齢脳血管障害患者(3例)に1回5mg経口投与時の血中には未変化体及び代謝物のアポビンカミン酸(ビンポセチンの脱エステル体)、血中アポビンカミン酸濃度は未変化体に比べ高く、投与約1時間後にピーク、半減期1時間で消失。また、同一患者に1日15mg(1回5mg、1日3回)4週間連日経口投与時の血中未変化体及びアポビンカミン酸濃度は初回投与時に比べてほとんど変わらず、蓄積傾向は認められていない。

3.臨床適用

1日15mg(1回5mg、1日3回)、一般臨床試験で1〜8ヶ月間、二重盲検比較試験で8週間、687例

a)臨床効果

自覚症状(めまい、立ちくらみ、頭痛・頭重、四肢のしびれ感等)、患者行動(尿失禁、用便動作障害等)、精神症状(憂鬱感、不安・苦悶・焦燥、睡眠障害等)、神経症状(筋力・握力低下、構音障害等)の全般改善率(〔 〕内やや改善以上)28%(124/450)〔72%(326/450)〕で、脳梗塞後遺症28%(93/337)〔72%(242/337)〕、脳出血後遺症28%(29/102)〔75%(77/102)〕、鑑別不能の脳卒中後遺症18%(2/11)〔64%(7/11)〕。特に発症後の経過が比較的短い症例だけではなく、発症後の経過が比較的長く、種種の症状固定化傾向がみられる罹病期間の長い症例にも優れた効果が認められている。二重盲検比較試験で有用性が認められている。

b)副作用及び臨床検査値の変動

1.42%(198/13960)に、消化器症状38例(悪心、食欲不振、腹痛、下痢等)、精神神経系症状37例(頭痛、めまい、眠気等)、血液像異常10例(白血球減少等)、肝機能異常73例(GOT、GPT、γ−GTP、アルカリフォスファターゼ上昇等)、皮膚症状24例(発疹、痒み等)、顔面潮紅・のぼせ15例等

4.非臨床試験

a)毒性LD50(mg/kg)

マウス♂♀:経口>1000

ラット:経口=♂6200 ♀7800(カルメロース懸濁液として投与)

b)生殖試験

器官形成期経口投与で、ラット125mg/kg群で胎児死亡の増加、胎児の発育抑制、ウサギ5mg/kg以上群で流産。ラットの周産期及び授乳期経口投与では、25mg/kg群で保育行動異常、新生児死亡。

c)胎児及び乳汁への移行

ラットで認められる。

d)その他

一般薬理作用としてモルモット摘出左心房標本で、高濃度で心筋収縮力抑制作用を持つ。