トリプトファンの咳止め薬に対する効果

私たちは、咳止め薬が十分に作用するためにはセロトニン神経の活動が必要である事を提案してきた。セロトニンは通常の蛋白に含まれるトリプトファンから生合成される。今回の実験はそのトリプトファンの咳止め薬に対する作用の有用性を調べるために行った。

雄性sprague-dawley系ラット(体重300g)をこの実験では使用した。咳反射はα−chloralose麻酔の元で、刺入電極法を用いた電気刺激によって引き起こされる。実験で使用したすべての薬物は静脈内投与で行った。ED50値は、リッチフィールド−ウィルコキソン法で決定した。トリプトファンは咳止め薬と1:5=咳止め薬:トリプトファンの比率で投与した。トリプトファンの咳止め作用は、使った咳止め薬のED50値を変化させることで評価される。ジヒドロコデインが引き起こす身体依存性の傾向に対するトリプトファンの効果についても実験を行った。身体依存を発生させるために、ラットにジヒドロコデインを分けて、あるいは同時にトリプトファンと食事に混ぜて投与した。7日間ラットをその餌で処理した。身体依存性は、ナロキソンによる処理によって引き起こされた兆候から評価した。

ジヒドロコデインの咳止め作用は、トリプトファンの同時投与により強められた。実際に、トリプトファンはジヒドロコデインのED50値を半分以下に減らしている。デキストロメトルファンとノスカピンのED50値は同様にトリプトファンと同時投与した時、約半分に減少した。脳のセロトニンレベルは、トリプトファンの投与後かなり増加した。一方で、トリプトファンの同時投与でジヒドロコデインの身体依存は強められなかった。それゆえ、トリプトファンはジヒドロコデインの乱用の危険性を強めないことも明らかとなった。

ジヒドロコデイン、デキストロメトルファン、ノスカピンの作用に対するトリプトファンの効果

Drugs

ED50値(mg/kg、i.v.)

ジヒドロコデイン

0.45

ジヒドロコデイン+トリプトファン

0.20

デキストロメトルファン

1.60

デキストロメトルファン+トリプトファン

0.79

ノスカピン

1.06

ノスカピン+トリプトファン

0.61

ED50値の信頼区間=95%