薬効分類名 禁煙補助剤

貯法:室温保存(取扱い上の注意参照)

規制区分:劇薬、指定、指示医薬品

組成:有効成分(含量)・・・ニコチン(2mg)、添加物・・・イオン交換樹脂、D-ソルビトール、D-ソルビトール液(70%)、グリセリン、ポリイソブチレン、エステルガム、グリセリン脂肪酸エステル、炭酸カルシウム、マイクロクリスタリンワックス、ジブチルヒドロキシトルエン、バニリン、香料

性状:外形 外形 1辺約14.0mm、厚さ約4.5mm、重量1g

色調等:淡灰黄褐色の四角形のガム製剤で特異な芳香がある。

一般的名称:ニコチンガム製剤

禁忌 (次の患者には投与しないこと)

1. 非喫煙者[本剤の投与が不必要であるため。]

2. 妊婦[「妊婦、産婦、授乳婦等への投与」の項参照]

3. 心筋梗塞発症直後の患者[心筋梗塞を悪化させるおそれがある。]

4. 重篤な狭心症の患者[狭心症を悪化させるおそれがある。]

5. 重篤な不整脈の患者[不整脈を悪化させるおそれがある。]

6. 側頭下顎関節疾患の患者[咀嚼による機械的刺激により症状を悪化させるおそれがある。]

効能又は効果

効能又は効果/用法及び用量

循環器・呼吸器・消化器疾患などを基礎疾患に持ち、医師により禁煙が必要と診断された喫煙者が医師の指導の下に行う禁煙の補助

用法及び用量

喫煙欲求が生じた時、本剤1回1個をゆっくりと間をおきながら約30分間咀嚼する。通常、1日6〜12個の投与より始めて1日の総投与量を次第に減らし、1日1〜2個となった段階で投与を終了する。初期使用量は喫煙の状況により適宜増減するが、1日30個を限度とする。投与中は2〜4週ごと又はそれ以下の間隔で禁煙の進行状況を検討し、本剤の継続投与の必要性を判断しながら、通常3ヵ月をめどに投与を行うが、6ヵ月を超えて投与しないこと。

使用上の注意

慎重投与 (次の患者には慎重に投与すること)

1. 甲状腺機能亢進症、褐色細胞腫の患者[交感神経刺激作用により症状を悪化させるおそれがある。]

2. インスリン依存性糖尿病の患者[禁煙によりインスリンの作用が強くあらわれるおそれがある。]

3. 高血圧、血管攣縮性疾患の患者[交感神経刺激作用により血圧上昇、末梢血管収縮が起こるおそれがある。]

4. 口内炎、咽頭炎の患者[放出されたニコチンによる刺激感が起こるおそれがある。]

5. 食道炎、消化性潰瘍などの消化器系疾患のある患者[嚥下されたニコチンによる直接刺激作用が起こるおそれがある。]

6. 狭心症、心筋梗塞のある患者[症状を悪化させるおそれがある。]

7. 義歯等の歯科的処置が施された患者[本剤がガム製剤であるため、ガムが義歯等に付着し、脱落・損傷を起こすおそれがある。]

重要な基本的注意

1. 本剤は、医師等による適切な禁煙計画・指導の補助として用いること。

2. 本剤は禁煙意志があり、循環器・呼吸器・消化器疾患等を基礎疾患に持つ患者であって、禁煙の困難な喫煙者に用いること。

3. 本剤の投与開始にあたって、本剤の使用に関する説明書を患者に与えること。

4. 本剤服用中あるいは服用直後には喫煙させないこと。

相互作用

併用注意 (併用に注意すること)

1. アドレナリン遮断薬:本剤との併用により、アドレナリン遮断性の薬剤の作用を減弱させるおそれがある。 必要に応じてアドレナリン遮断性の薬剤を増量するなど用量に注意すること。ニコチンにより血中コルチゾール、カテコールアミンの量が増加する

2. アドレナリン作動薬:本剤との併用により、アドレナリン作動性の薬剤の作用を増強させるおそれがある。必要に応じてアドレナリン作動性の薬剤を減量するなど用量に注意すること。ニコチンにより血中コルチゾール、カテコールアミンの量が増加する。

併用注意に関する注意

喫煙中に下記薬剤を服用している場合、本剤を使用して禁煙を開始後、下記薬剤の作用が増強するおそれがある。

フェナセチン、カフェイン、テオフィリン、イミプラミン、ペンタゾシン、フロセミド、プロプラノロール

副作用

副作用等発現状況の概要:調査症例数1562例中、副作用の発現症例は314例(20.1%)であり、副作用発現件数は延べ451件であった。その主なものは、口腔内・咽頭刺激感77件(4.93%)、嘔気65件(4.16%)、口内炎49件(3.13%)、腹部不快感47件(3.01%)、咽頭痛24件(1.54%)、舌の荒れ12件(0.77%)、しゃっくり10件(0.64%)、唾液分泌増加、胸やけ各8件(0.51%)、下痢7件(0.45%)等であった。(承認時までの調査及び市販後の使用成績調査の集計) また、臨床検査値の変動では、遊離脂肪酸4.34%(5/117件)、HDL-コレステロール2.43%(3/123件)、トリグリセリド、総蛋白各2.4%(3/125件)等であった。特に問題となる所見は認められなかった。顎痛等本剤の咀嚼に伴う障害が25件(5.25%)報告された。(承認時までの調査の集計)

1.口腔1〜5%未満 口内・咽頭刺激感、口内炎、咽頭痛

2.口腔1%未満 舌の荒れ、味覚倒錯

3.消化器1〜5%未満 嘔気、腹部不快感

4.消化器1%未満 しゃっくり、おくび、胸やけ、食欲不振、下痢

5.中枢神経系1%未満 頭痛、めまい

6.その他1%未満 動悸、胸部不快感、胸部刺激感、皮疹、顔面潮紅、顔面浮腫、気分不良、思考減退、眠気

高齢者への投与:一般的に高齢者では生理機能(特に咀嚼機能)が低下しているので、服薬指導にあたっては、本剤の咀嚼方法などを十分に説明することが望ましい。

妊婦、産婦、授乳婦等への投与

1.妊婦:妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には投与しないこと。[動物実験で胎児に催奇形作用やアシドーシス、呼吸運動の低下等を起こすことが報告されている。]

2.授乳婦:授乳中の婦人には投与を避けること。やむを得ず投与する場合には授乳を避けさせること。[動物実験で乳汁中に移行することが報告されている。

] 適用上の注意

1. 本剤はチューインガム型の薬剤であるので口腔内で咀嚼し、嚥下しないこと。またコーヒー、炭酸飲料などの摂取後しばらくは服用を避けさせること。

2. 義歯等の歯科的処置を施された患者で本剤をかむことに困難を感じた場合は、直ちに服用を中止させること。

3. 本剤は急速に咀嚼すると、口内・咽頭刺激感や唾液分泌の亢進等の症状があらわれることがあるので、緩徐に咀嚼することが望ましい。

4. エアゾル等との同時使用により、口内・咽頭刺激感、咽頭痛などの口腔における副作用が増悪するおそれがあるので併用を避けさせること。

その他の注意

外国の臨床試験において本剤の長期使用により、ニコチン依存性が本剤に引き継がれ離脱が困難になる症例が報告されている。

薬物動態

1.吸収:本剤中のニコチンは咀嚼することにより溶出し口腔粘膜から吸収される。本剤を約30分間30秒毎に10秒間咀嚼すると平均約1mgのニコチンが溶出した。本剤投与後血中ニコチン濃度は約50分で最高値5.8ng/mLに達し、タバコ1本(ニコチン約1mg含有)の喫煙後30分で到達した最高値12.4ng/mLの約1/2であった。本剤からのニコチンの吸収は緩徐で、喫煙時にみられる急激な血中ニコチン濃度の上昇はなかった。

2.分布・代謝:ニコチンは主に肝で代謝され、主代謝物はコチニンとニコチン-N'-オキシドである。またニコチンは喫煙者の胎盤組織、羊水中及び胎児の血中から検出されており、胎盤を通過することが報告されている。注

3.排泄:ニコチンは主として尿中に排泄される。注

4.その他:喫煙者のニコチンのクリアランスには性差があり、女性の方がニコチン曝露量が高いとの報告がある。 また、喫煙授乳婦においてニコチンの母乳中への移行が報告されている。注
注:日本人のデータではない。

臨床成績

国内延べ136施設で総計509例について実施された二重盲検比較試験及び一般臨床試験の概要は次のとおりである。

(1)試験別/疾患別有効性

有効性の解析対象430例中、医師の定期的な集団禁煙指導を伴った場合の有効率は有効以上60.6%、やや有効以上87.3%であり、集団禁煙指導を行わずに本剤を投与した場合に比較して高く、服用時における医師、薬剤師の禁煙指導の重要性が示唆されている。

(2)禁煙率

試験終了時における禁煙率は、集団禁煙指導を行わなかった試験(計435例)では20.5〜31.6%(平均23.4%)、集団禁煙指導を行った試験(計74例)では47.1〜90.0%(平均56.8%)であった。

(3)離脱症状に対する効果

健常喫煙者50例を対象とした二重盲検比較試験において、本剤群はプラセボ群に比較し禁煙に伴う離脱症状の発現頻度が有意に低かった。

(4)ニコチン依存症に対する効果

米国の精神障害の診断基準に基づいてニコチン依存症と診断された基礎疾患を有さない喫煙者34例に対し、長期観察試験(集団禁煙指導を実施)を行った結果、1年後においても禁煙率は38.2%と高水準を維持していた。

疾患・集団禁煙指導なし・二重盲検比較試験・集団禁煙指導なし・二重盲検比較試験・集団禁煙指導なし・一般臨床試験・集団禁煙指導なし・一般臨床試験・集団禁煙指導実施・一般臨床試験 集団禁煙指導実施

一般臨床試験 合計 合計 疾患 有効以上 やや有効以上 有効以上 やや有効以上 有効以上 やや有効以上 有効以上 やや有効以上

循環器疾患 14/43(32.6) 29/43(67.4) 22/52(42.3) 27/52(51.9) ― ― 36/95(37.9) 56/95(58.9)

呼吸器疾患 7/29(24.1) 14/29(48.3) 20/49(40.8) 25/49(51.0) ― ― 27/78(34.6) 39/78(50.0)

消化器疾患 16/53(30.2) 26/53(49.1) 24/71(33.8) 37/71(52.1) 26/37(70.3) 28/37(75.7) 66/161(41.0) 91/161(56.5)

その他の疾患 7/27(25.9) 15/27(55.6) 6/9(66.7) 7/9(77.8) ― ― 13/36(36.1) 22/36(61.1)

健常喫煙者 3/14(21.4) 7/14(50.0) 2/12(16.7) 5/12(41.7) 17/34(50.0) 34/34(100) 22/60(36.7) 46/60(76.7) 合計 47/166(28.3) 91/166(54.8) 74/193(38.3) 101/193(52.3) 43/71(60.6) 62/71(87.3) 164/430(38.1) 254/430(59.1)
有効:禁煙 やや有効:喫煙量が20%以下に減煙 ()内:%

薬効薬理

本剤による禁煙療法は、たばこ中に含まれているニコチンのみを喫煙者に置換摂取させ、離脱症状の発現を抑えながら禁煙させる療法であり、本剤の効果は臨床試験によって裏付けされる。[「臨床成績」の項参照] また、動物を用いた薬理学的検討は、本剤がガム製剤であるため実施困難であったので、実施していない。

有効成分に関する理化学的知見

一般名:ニコチン(nicotine)、化学名:(S)-3-(1-methyl-2-pyrrolidinyl)pyridine、分子式:C10H14N2、分子量:162.23

性状:淡黄色〜黄褐色の液で、吸湿性である。 水、メタノール、氷酢酸、無水酢酸、エタノール、アセトン、エーテル又はクロロホルムと混和する。

取扱い上の注意:本剤は小児等が容易に開けられない包装になっているが、小児等の手の届かない所に保管すること。