modafinilは、adrafinilの誘導体であり、中枢系のα1受容体刺激作用を有する。過眠症及びナルコレプシーの治療薬で、フランスではすでに1994年に上市されている。アメリカでは、ナルコレプシーにおける長時間の傾眠傾向の適応でオーファンドラッグに指定されている。
ラット及びマウスで本剤1〜4mg/kgのip投与により活動亢進及び感受性亢進が見られたが、常同行動は認められなかった。本剤16〜64mg/kgのpo投与で、サルにおける夜間活動時間が延長された。これらの作用は中枢系α1受容体作用に依存し、ドパミン系の関与はないと思われた。(この作用はprazosin及びphenoxybenzamineでは遮断されたが、sulpirideやhaloperidolでは遮断されなかったため)
本剤はアカゲザルではより強力な覚醒作用を示したが、行動傷害は誘発しなかった。炭素ファイバー電極による鑑別正常脈ボルタメーター測定による試験で、本剤は麻酔マウスおよびラットの中枢黒質線条体または辺縁系ドパミン性機能には作用を及ぼさなかった。本剤はカテコール酸化のピークレベルを変化させなかったが、amphetamineおよびmethylphenidateはそれぞれピークレベルを減少および増加させた。
動物試験から、本剤はbarbiturate誘発立ち直り反射の喪失を抑制し、運動高進を引き起こすことが明らかとなった。ラットにおいて、本剤はα1およびα2受容体を含む(オピオイド受容体は含まない)中枢経路を介する2−デオキシグルコース刺激膵液分泌を抑制した。
これらのことから本剤の覚醒作用は、amphetamineとは異なり、カテコールアミン性ニューロン活動を介するのではなく、シナプス後α1受容体に対する直接作用によるものであると思われた。
霊長類MPTP誘発パーキンソン病モデル、外傷モデルおよび限局性脳虚血モデル(エンドセリンー1誘発線条体損傷モデル)において、本剤は神経保護作用を示した。
健常人8名を対象にしたプラセボ対照試験において、60分間の睡眠妨害後、本剤200mgを6時間おきに1日3回、3日間投与したところ、覚醒状態は改善した。特発性過眠症及びナルコレプシー症例を対象として、本剤200〜500mg/日の中枢神経刺激作用について検討した。本剤投与後、過眠症症例の83%およびナルコレプシー症例の71%において、睡眠発作および嗜眠状態の有意な抑制が認められた。脱力症状が全く抑制されなかった症例にclomipramineを低用量(10〜20mg/日)投与したところ、症状の改善が見られた。本剤を1年以上投与しても、ほとんどの症例で副作用の発現は見られず、夜間の睡眠障害や薬物依存も認められなかった。
プラセボを対照とした二重盲検クロスオーバー試験で、ナルコレプシー患者10例に本剤を300mg/日を4週間投与したときの有効性について検討した。重度の日中の傾眠や脱力発作の病歴を有する症例を対象とした。プラセボ投与群と比較すると、本剤の投与群の方が日中の傾眠が有意に減少し、覚醒状態もより良好であり、反応時間も改善された。本剤は総睡眠時間、入眠潜時、夜間覚醒回数、REM潜時および睡眠パターンに対して著明な影響を及ぼさなかった。カナダで行われたクロスオーバーphaseV試験で、ナルコレプシー患者75例にプラセボもしくは本剤(200または400mg/日)を1日1回6週間投与した。本剤は入眠潜時を有意に延長した。プラセボと比しては200mg群で40%(p=0.002)、400mg群では54%(p=0.001)改善した。傾眠傾向はそれぞれ24%(p=0.013)、27%(p=0.008)減少した。主な副作用として頭痛、悪心、口渇、胸やけ、めまいが発現したが、投与後数日間に限られ、脱落例は1例のみであった。
アルコール中毒性の臓器症候群を示す40例の禁酒入院患者におけるプラセボ対照二重盲検試験で、本剤200mgの6週間の投与により、自発的回復が有意に促進された。精神心理学的および自律神経系のパラメーターには、プラセボでもまた本剤でも影響は見られなかった。本剤の反復投与でEEGにおける徐波の減少およびα波の増加が認められ、覚醒状態の改善が示唆された。