2000.11.29

冬虫夏草エキスにスマドラ効果あり

冬虫夏草菌糸体エキスと、アヤムラサキ(紅芋の1品種)エキスの混合液の精神機能向上が着目され、研究が進められてきた。
その研究成果によると、エキス混合液の飲用後に学習能力向上と集中力持続に顕著な作用が認められたとの事。
この研究は冬虫夏草菌糸体エキス及びアヤムラサキアントシアニン配合飲料を用い、18歳から60歳までの健常者34人を二重盲検により2班に分け、学力・集中力向上効果を検討した結果得られたもの。

2000.11.26

「雑音」が神経信号を増幅、立ちくらみ防止に効果

首の血管に軽い刺激を与えることで脳の神経回路にノイズ(雑音)をわざと送り込んでやると、立ちくらみが防げる。
身体機能を保つのに必要な神経の信号がノイズにより増幅される「確率共鳴」という現象で、他の生物では見つかっているが、人間では初めてだそうである。将来は老化で衰えた感覚の補完などに応用が期待されるという。
立ちくらみは立ち上がったときに血液が下半身に集まり、脳に行き渡らなくて起きる。普通は、下半身への血液の集中が限度を超えると、心臓付近の静脈から血圧低下を知らせる電気信号が神経を通じて脳の一部である延髄に伝わり、心拍数が増えて立ちくらみを防ぐ。立ちくらみを起こしやすい人は、この信号が弱く反応を起こせないらしい。
信号の行き先である延髄の中枢には頚(けい)動脈からも血圧変化を伝える神経の信号経路があり、そこからノイズを送り込めば正常な反応を引き出せると予想。
そこで健康な若者八人を実験台に、心臓付近の静脈の血圧に、心拍数が変わらない程度の弱い変動を与えながら、空気圧によって頚動脈の圧迫・拡張を繰り返して刺激した。刺激は全く不規則なため神経回路にはノイズしか発生しないが、圧迫・拡張を強めると心拍数が増え出した。
ただ圧迫・拡張をさらに強めても、心拍数は、いったんピークに達した後は減少に転じる。こうした変化の仕方はさまざまな確率共鳴現象に共通する特徴で、仮説が証明されたという。

生物が信号増幅に利用。感覚補助器具へ応用も

雑音は普通、邪魔な存在である。ところが雑音のおかげで微弱な信号が強まる「確率共鳴」という現象があり、生物はそれをうまく利用していることが明らかになりつつある。
例えばザリガニは尾に付いた毛のような細胞で周りの水のわずかな動きを感じ、敵の攻撃をかわすことができる。熱による水分子の揺らぎが雑音として働くため、微小な水の動きによる信号が強められるためだ。
ヘラチョウザメはえさのプランクトンが発する電気的信号を感じて捕食する。この場合、周囲にある多数のプランクトンが出す信号が雑音になり、かすかな信号を強めている。
こうしたメカニズムの解明が進めば、老化や病気によって衰えた感覚を補う器具の開発にも役立つと期待されている。ある感覚の信号が弱いため脳が正常に反応しないとき、身体の全く別の部分で「雑音」を発生させて信号を強め、正常な反応を起こさせようというわけだ。

不整脈制御にも期待

この成果を発展させれば、聴覚障害や視覚障害などで応用が考えられ、不整脈を安全に制御できるようになることも期待される。また、パーキンソン病のように脳の機能障害に起因した運動障害を、雑音を神経系に加えることで取り除くこともできるかもしれない。

確率共鳴とは?

弱い周期性を持つ物理量が一定値を超えると反応が起きるようなシステムで、その物理量が適度な雑音と共鳴して強められる現象。一九七○年代に甲斐昌一・九州大教授らが発見、「奇妙な雑音現象」と呼ばれた。八○年代初め、気候変動の説明に使われたのをきっかけに、レーザーや発振回路などの物理系で見つかり、九○年代に入るとザリガニの触覚など生体でも見つかるようになった。

アクセス解析してみる

このページの趣旨とはかなり異なるが、最近ちょっといい加減になってきているアクセス解析を、少し披露してみようと思う。

2000/11/19 --- 2000/11/25

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/ssri.htm 257 5133
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以外とトレドミン日記が好調な事が判明した(笑)。1日100人が見ている計算になる。もう少し今日の一言をパワーアップさせんとイカンなぁと思う今日この頃であった。

2000.11.22

喫煙はアルツハイマー病を予防しない

喫煙者にとっては厳しい研究データが、また1つ明らかになった。以前に実施された疫学的研究では、喫煙には痴呆を予防する効果が見込めるという結論が得られていた。しかし、今回British Medical Journal(320:1097-1102)において、「英国で実施された大規模なコホート研究(追跡するのではなく、過去にさかのぼって調査する研究)の結果、そのような喫煙のメリットは確認できなかった」と報告している。
この調査は3万5,000人以上の男性医師を対象に実施され、1951〜98年の喫煙歴のデータを集めて検討した。その結果、痴呆一般についてもアルツハイマー病に限って見ても、喫煙者でリスクが減少するといった事実は認められなかった。それどころか、喫煙者ではリスクはむしろ増加する傾向があった。ただし、重度の痴呆症に対する影響は大きくはないとの事。(実際の薬理作用が分からないとこういった調査に頼らざるを得ないですね)

抗うつ薬に腹部型肥満治療の可能性

腹部型肥満治療の可能性のあるセロトニン作動性抗うつ薬の役割が論議されている。未だ予備的ではあるが、結果としては、セロトニン作動性抗うつ薬が腹部体脂肪量の減少と関連リスクファクターの改善を促進することを示唆したデータが報告された。(SSRIやアナフラニール等による食欲減少に関連?)
この明確な効果は、hypothalamic-pituitary-adrenal(HPA)軸の機能亢進に及ぼす抗うつ薬の影響の結果と考えられている。
腹部型肥満の病態生理は不明で異論も多いが、腹部型肥満の病因におけるHPA軸の役割については、データとしての根拠がある。
すなわち、 グルコース・インスリン・脂質代謝は高血圧と同様、コルチゾル(ホルモン)分泌不全と関係がある事、また、性ステロイド(性ホルモン)値の異常および血清成長ホルモンの低値は、いずれもHPA軸の種々の成分に影響され、腹部型肥満を伴う事になるとの事である。
セロトニン作動性抗うつ薬は、腹部脂肪の進行性蓄積につながるHPA軸の機能亢進と内分泌変動の悪循環を断ち切る効果があるのではと期待されている。

肥満は病気?

肥満だけでは病気ではないが、肥満することによりさまざまな合併症が発症してくる。糖尿病と同じように、高血糖だからといって病気ではなく、高血糖の持続がさまざまな合併症を引き起こし患者を苦しめるのと同じである。
肥満の場合は当然、栄養素の摂り過ぎや運動不足などが原因の事が多く、高脂血症などにより動脈硬化を促進する。  さらに最近の研究では、脂肪細胞、特に内臓に蓄積した脂肪細胞からPAI‐1(血液を固まらせる因子)やレプチン(食欲抑制因子の一つ)、TNF‐α(炎症に関連する因子)、アンジオテンシンノーゲン(血圧を上げる物質の前駆体)といったアデポサイトカインが分泌され、それが血栓形成や摂食シグナル、インスリン抵抗性、血圧上昇など、肥満に伴う合併症に深くかかわっていることが明らかになっている。
また、減量により理想体重まで落とさなくとも、現在の体重を15%減らし維持さえすれば、肥満細胞からアデポサイトカイン分泌は激減し、肥満合併症は改善されることも分かっている
肥満治療の主流は食事療法と運動療法だが、同じカロリーの食事、同じ量の運動をしていても痩せにくい人がいるのも事実だ。
最近の肥満関連遺伝子研究から、白色脂肪組織や褐色脂肪組織(エネルギーを熱に変換する組織。体温維持にも役立っている)にあるβ3アドレナリン受容体遺伝子に変異(Trp64Arg(64番目のトリプトファンがアルギニンに変わる))があると、痩せにくいことが明らかになっている。
この遺伝子変異は、日本人の3人に1人と高頻度にみられ、内臓脂肪型肥満、インスリン抵抗性、糖尿病早期発症、糖尿病網膜症合併、糖尿病腎症合併、安静時代謝量の低下(200kcal減)、減量困難性と関連している。さらに、褐色脂肪組織にある脱共役蛋白質(UCP)1(この蛋白質がエネルギーを無駄使いする事で熱を発生する)の遺伝子多型も日本人に25%と多く、この変異も代謝を減弱させるため、β3変異と併せ持っている場合は、相乗効果で300kcalも痩せにくい。
一方では、代謝を促進させる遺伝子変異も見つかっている。それは、β2アドレナリン受容体の遺伝子多型(Aeg16Gly)である。この変異とβ3変異を併せもつと、お互いの効果が相殺され、通常の減量食でも痩せられるらしい。
肥満関連遺伝子の研究は進み、現在、肥満にかかわる単塩基置換多型(SNPs)は40個以上報告されている。個々のSNPsの機能的効果は少ないかもしれないが、いくつかが組み合わされれば、相乗的な効果を発揮する可能性もある。
肥満治療は患者一律にするのではなく、遺伝子診断で個々の体質に合わせたオーダーメイドな食事・ライフスタイルを指導する時代に入ってきていることがうかがわれる。(私と友人の卒業論文と関連してるのでつい書いちゃいました。)

インフルエンザの流行予測と抗ウイルス薬(続)

インフルエンザウイルスを巡る近年の話題のなかでも、世界的に注目されたのが1997年の新型インフルエンザウイルスA/H5N1の出現だった。幸い現在のところ、強毒と言われるこの新型が再登場する気配はないとみなされている。一方、アマンタジンに続く抗ウイルス薬として、99年末にザナミビルが承認された。ザナミビルはインフルエンザウイルスのノイラミニダーゼ活性を阻害する新しいタイプの抗ウイルス薬として、既にインフルエンザ脳症等その臨床効果が期待されている。
今冬のインフルエンザ流行予測と今後の新型ウイルス出現の可能性、ワクチン調製の問題などについて

インフルエンザウイルスの動向とワクチン調製
今冬シーズンはA/H3N2、A/H1N1およびB型対応のワクチンを調製。インフルエンザウイルスのなかでも例年流行の主力となっているA型は、ウイルスの表面抗原のヘマグルチニン(HA)とノイラミニダーゼ(NA)の型によって、HAはH1〜H15、NAはN1〜N9の亜型に分類される。
インフルエンザ対策の基本となるサーベイランスは、患者発生に関する情報、分離ウイルスに関する情報および血清疫学的情報のおおよそ 3 つの情報を収集・解析して行われている。同時に、世界的レベルではWHOによって年間を通じてサーベイランスが行われており、例年、北半球では 2 月、南半球では 9 月にWHOによるワクチン株のリコメンデーションのための会議が開かれる。これらの情報を総合して、次シーズンの流行予測とワクチン株の選定が行われる。
1999年10月〜2000年 2 月にかけて、世界規模では米国、アジア、ヨーロッパなどで中等度からかなり大規模なインフルエンザの流行が見られたと報告されている。多くの国で流行の主流はA/H3N2だったが、日本、香港、スペインなどではA/H1N1の流行も見られた。B型も報告されているが、いずれも小規模の発生にとどまったとされる。抗原分析から、流行の中心を占めたA/H3N2の大多数はA/Moscow/10/99類似株で、ワクチン株であるA/Sydney/5/97(シドニー株)とも類似した株であることが明らかになっている。
日本では、1999/2000シーズンのウイルス分離状況は2000年 1 月半ば〜 2 月上旬にピークが見られたが、シーズン後半はA/H3N2よりA/H1N1の分離報告が多かった。また、過去 4 シーズンにわたって続いているA/H3N2の流行は、1998/99シーズンでは第 6 週以降流行の中心は次第にB型に置き換わり(下の前編参照)、1999/2000シーズンと異なりA/H1N1の分離報告数はわずかだった。
一方、1999年11月12日現在の抗体保有状況を見ると、A/H3N2の最も主要な株であるシドニー株以外の抗体保有率は、年齢層によってばらつきがあり全体として高いとは言えず、30歳台以降非常に低くなる傾向が見られる。特に、抗原性の変化にも対応するには高い抗体価が必要とされているが、1:80以上の抗体保有率はシドニー株でも20歳以上の年齢群では約10%にとどまっている。
今冬の2000/2001シーズンに備えるワクチンは、上記のような状況を考慮して、例年と同様にA/H3N2、A/H1N1、およびB型の 3 つのウイルスを含むワクチンとして調製され、ワクチン株としては,A/H3N2にはA/Moscow/10/99類似株でA/Panama/2007/99、A/H1N1にはA/New Caledonia/20/99、B型にはB/山梨/166/98が選ばれている。9 月末現在ワクチンの国家検定作業が行われているところである。
新型ウイルス出現の可能性
A型インフルエンザウイルスは鳥類に広く分布し、自然界におけるウイルスの供給源になっていることが知られており、かつ、ブタがウイルスのヒトへの伝播の主要な中間宿主であると考えられている。ブタは,トリのインフルエンザウイルスに対してもヒトのインフルエンザウイルスに対しても感受性があり、どちらのウイルスにも感染しうる。
インフルエンザウイルスの遺伝子は独特の分節構造を持ち、A型ウイルスのゲノムは 8 本の分節に分かれてウイルス粒子内に収納されている(エンベロープというタンパク質の中に8本の種類が異なる遺伝子が入っている)。A型ウイルスの異なる株が同一細胞に重感染すると、ウイルス間で容易に分節した遺伝子の交換が生じる。(すなわち、それだけ新型の遺伝子を持ったインフルエンザが発生しやすい)
ブタはこのような遺伝子の組み換えと再集合が起きる格好の中間宿主と言われる。あるいはトリのウイルスがブタに感染し、ウイルス遺伝子内に点変異(遺伝子記号一個の違いによるもの)が蓄積された結果、ヒトに感染する能力を獲得する場合も考えられる。
従来、新型インフルエンザウイルスの出現には上記のような2種類の発生機序が考えられてきた。しかし、1997年に香港で出現した新型ウイルスA/H5N1は、トリからヒトに直接感染した初めてのケースと考えられている。A/H5N1は同年 5 月に第 1 例が見つかり、12月に終息するまで18例が報告された。それ以後、現在までヒトで分離された報告はない。
一方、1999年に同じく香港で通常のインフルエンザ流行中に未知の株が発見され、A/H9N2という新しい型であることがわかった。中国本土でも数例の報告があったが、それ以後A/H9N2の分離報告はないという。
A/H5N1の感染は、18例全例がニワトリからヒトという経路でそれぞれ単独に発生したと考えられている。当時香港ではA/H3N2とA/H1N1が通年にわたって流行しており、新型ウイルスの感染拡大に対する懸念に加えて、流行の主体になっているウイルスのいずれかに感染したヒトがさらにA/H5N1に感染した場合、ヒトのなかで上記のようなウイルス遺伝子の再集合が起こるのではないかと危惧された。
実際には、新型ウイルスの感染者と濃密な接触を持った家族、医療関係者など周辺の人々には新たな感染者はなく、この問題は取りあえず杞憂に終わった。しかし、トリからヒトという感染経路がありうること、また今回はなかったが、ヒトからヒトへの伝播のなかで、従来ブタで起きていたようなウイルス遺伝子の分節交換が生じる可能性も否定できない事を覚えて置いて欲しい。その意味で養鶏場と市場のニワトリをすべて早期に殺処分にしたのは、感染の拡大とともにそうした可能性の芽を封じる意味で評価されている。しかし、今後はA/H5N1で示唆された可能性にも常に注意を払っていくことが必要だろう。
A/H5N1は強毒性のウイルスで、ニワトリに致死的に働いた。したがって、ニワトリは自然宿主ではなく、カモなどの水鳥が自然宿主ではないかと推定されているが、詳細は明らかではない。ヒトでも18例中の 3 割以上にのぼる 6 例の死亡が報じられた。
発育鶏卵以外によるワクチン製造の選択肢
現行の不活化ワクチンは、周知のように発育鶏卵を用いて調製されている。しかし、A/H5N1は上述のように強毒であったため、通常のように発育鶏卵に接種して増殖させることはできなかった。そこで、新型インフルエンザA/H1N1に対するワクチンの製造に備えてワクチン株作製のためにリバースジェネティクス(遺伝子操作の一種で、ある部位のタンパク質から遺伝子を推定(リバースジェネティクス)し、その遺伝子を制限酵素等で切断し、組み替えたりする)という手法が採られた。
インフルエンザウイルスの感染は、ウイルス膜表面のHAが宿主細胞のシアル酸に吸着したのち、HAがHA1とHA2に開裂して膜融合を起こすことによって成立する。HAを開裂活性化させるのに必要なプロテアーゼは、主として宿主細胞から調達される。さらにこの場合、宿主の呼吸器と腸管にだけ存在するプロテアーゼで開裂されるか、脳も含めて全身の臓器に存在するプロテアーゼで開裂を受けることができるかはHAのアミノ酸配列によって規定され、このことがトリ・インフルエンザウイルスの強毒株か弱毒株かの違いを決定していることが明らかになっている。
リバースジェネティクスによって、HAの開裂部位のアミノ酸配列を強毒型から弱毒型に改変し、その改変ウイルスを発育鶏卵で培養し、ワクチンを製造することができる。
さらにもう 1 つの戦略として、自然界に存在する弱毒型のウイルスのなかから問題のウイルスと類似の抗原を持つ株を検索し、それを発育鶏卵中で培養して用いることである。今回はこの 2 様の作戦が取られたが、いずれも現実には使用することなく終わった。
発育鶏卵による現行のワクチン製造法に替わり、イヌ腎細胞由来のMDCK細胞(この培養細胞の名前。何の略かは忘れてしまった(笑)。)に代表されるような哺乳動物の培養細胞を用いるワクチン製造法やDNAワクチンの可能性も検討されているが、いずれも今のところヒトでの安全性は確立されていない。
現在、発育鶏卵を用いたワクチン以外で最も有望とされるのは低温順化株を用いた弱毒生ワクチンである。米国では既に臨床試験が終了し、2001年以降に認可される見通しが強いという。日本でも今後、検討課題となる可能性がある(厚生省、製薬会社様お願いします)。
過去の事例から見ると、新型インフルエンザの大流行(パンデミック)は、1世紀のうちに数回程度起きる出来事と言える。すなわち、1918年のA/H1N1によるスペインかぜ、 57年のA/H2N2によるアジアかぜ、 68年のA/H3N2による香港かぜと、今世紀には 3 度のパンデミックに見舞われたことになる。したがって、新型ウイルスによるパンデミックは、一般に考えられるほど頻繁に生じる出来事ではないとも言えるが、いったん発生すると計り知れない被害をもたらすことは言うまでもない。すなわち、パンデミックに対してインターパンデミックとも呼ばれる通常期におけるサーベイランス(調査)やワクチン対策などの備えと体制作りが、結局パンデミックに対する対策の土台を形成するのに重要であろう事が伺い知れる。
インフルエンザ流行年には、非流行年と比べて多くの死亡が観察されることが知られており、これを超過死亡(excess mortality)と呼んでいる。シーズンごとの10万人当たり超過死亡数は1996/97シーズン以降増加傾向にあり、特に1998/99シーズンは10万人対22.65人を数え、前年比で過去最高の 2 倍近くにのぼったと報告されている。その多くは高齢者と考えられており、かつ65歳以上の人口比率は年々上昇していることからも、インターパンデミックにおけるインフルエンザ対策の重要性を示す指標となっている。

ノイラミニダーゼ阻害薬の臨床効果

新しいタイプの抗インフルエンザウイルス薬
1998年末に承認されたアマンタジンに続き、99年末に抗インフルエンザウイルス薬のザナミビルが承認された。インフルエンザウイルスが感染細胞で複製・増殖後、新たな標的を求めて細胞から遊離する際、HAとヒト細胞膜表面のシアル酸の結合をNA(ノイラミニダーゼ)によって断ち切るプロセスが不可欠とされるが、ザナミビルは、そのNA活性を阻害し感染拡大を阻止する。
アマンタジンの標的は、ウイルス膜蛋白の 1 つであるM2蛋白である。M2は感染後のウイルス粒子の脱殻(中身の遺伝子だけが宿主細胞に移行する)と遺伝子の放出に不可欠とされる蛋白で、アマンタジンはその働きを結合阻害するが、M2蛋白を持つのはA型インフルエンザウイルスのみなので、A型だけにしか効果がない。さらに耐性株の出現率が高く、中枢性の副作用を起こすことが問題になっている。この点、ザナミビルはA型だけでなくB型ウイルスにも等しく有効であり、耐性株の出現もほとんどないらしい(使いだして間もないからであろう)。また、特に重大な副作用も報告されておらず、安全性も高いらしい。
臨床試験で有効性を証明
ザナミビルは、ディスクヘラーと呼ばれる専用の吸入器(ザナミビルはブリスターと呼ばれる5円玉を巨大にしたような円盤に4つ包装化されており、それをディスクヘラーにセットして吸入する。)を用いて、散薬として吸入投与される。
日本での臨床試験は、1994年から96年にかけて第 I 相試験が行われ、ザナミビル 1 日40mgまでの吸入投与の安全性が示された。並行して95年 1 〜 4 月に行われた初期第II相試験では、ザナミビルの吸入投与のみで点鼻投与を上乗せした場合と同等の効果が得られること、20mg/日の吸入投与で発熱、頭痛、筋肉痛のインフルエンザ主要 3 症状がプラセボ群より速やかに軽減することが示された。続いて、ザナミビル10mgあるいは20mgを 1 日 2 回 5 日間投与して治療効果の用量反応性と安全性を検討する後期第II相試験が,96年12月から99年 4 月までの 3 流行期にわたって実施された。
後期第II相試験では、当初、米国のFDAが提唱したFDA方式で解析が行われた。薬剤投与後から正常または正常に近い状態に回復するまでの所要日数を、プラセボ群と比較して効果を判定する方法である。しかし、初期第II相試験に続く後期第II相の治験統括医師は、インフルエンザが自己の抗体が上昇すれば自然治癒するself limitedな疾患であることから、単に治癒までに要した日数を比較するだけでは解析方法として厳密性を欠くと考え、治癒に至るまでの臨床経過の差を考慮に入れて薬剤の効果を判定する、アマンタジン様解析と呼ばれる方法を加味した解析を行った。
後期第II相試験で解析対象となった患者総数は318例だが、このうち試験計画書が守られ、かつウイルス学的にインフルエンザ感染症と診断された患者群(efficacy set:EFF)は172例で、解析対象として最も精度が高いと考えられた。EFF群で体温、発熱および悪寒の軽減の推移を比較検討した成績は、いずれの項目でもザナミビル群がプラセボ群より有意に軽減の推移が速かった
またアマンタジン様解析では、米国のOxfordらによって示された定義に従い、患者群を薬剤投与後の発熱感、頭痛、筋肉痛などの主要症状の推移によって早期改善群、中等度改善群、改善遅延群に分類し、各群の比率をプラセボ群と比較した。その結果、ザナミビル群で特に早期改善群の比率が有意に高いことを明確に示す成績が得られた。また、20mg/日群と40mg/日群で臨床症状改善の用量反応性は観察されず、安全性はプラセボ群と同様だった。全世界の治験期間中に耐性株がB型で 1 株のみ見つかったが、周囲への波及はなく、病原性はきわめて弱かったらしい。
今後の抗インフルエンザウイルス薬の臨床試験は、評価方法をさらに検討し、多様な解析結果を総合的に考慮していくアプローチが必要であろう。
吸入後1分以内に下気道に分布。ハイリスク群にも有効
ザナミビルは吸入後 1 分以内に下気道に到達・分布することが、薬剤を放射性物質で標識して追跡した実験で明らかにされている。また吸入投与後の喀痰中の薬剤濃度の中央値は、6 時間後1,211ng/ml、12時間後639ng/ml、24時間後33ng/mlで、24時間後にもなおインフルエンザウイルスのNAに対するIC50値(50%阻害濃度:Inhibitory concentration)の37倍の濃度を保っていることが確認されている。
動物とヒトでの感染実験では、吸入投与により鼻汁中のウイルス量も減少することが示された。慢性心疾患や呼吸器疾患、糖尿病などを持つ患者、あるいは65歳以上の高齢者を含むハイリスク群を対象とした臨床試験が、引き続き日本でもスタートしようとしている。
ハイリスク群に対するザナミビルの効果に関しては、海外では既に多くの報告が出されている。ハイリスク群の検討結果を抽出し、主要症状軽減までの日数がプラセボ群に比較して2.5日短縮し、かつ日常生活に復帰するまでの日数も3.0日と、プラセボ群より有意に短かった事等が報告されている。また、肺炎などの合併症の発現率を有意に低下させたことも確認され、合併症に対する抗菌薬の使用は43%の削減が可能だったと報告している。
肺線維症、肺気腫あるいは心不全などの基礎疾患を持つ患者はインフルエンザウイルス感染によって容態が急変し、1 夜で死亡する事例がありうることなどから鑑み、ザナミビルの投与によってウイルスが駆逐されても、炎症はすぐには沈静化できず、感染拡大阻止と既に生じている炎症の沈静化には時間のずれがあるということ、特に、在宅酸素療法を行っている患者のインフルエンザウイルス感染に対しては常に細心の注意が必要であり、必ず個々の患者の呼吸機能を考えながら必要に応じて酸素療法を速やかに実施して、炎症の沈静化までを最適にサポートする配慮が不可欠である。
インフルエンザウイルスのもう 1 つのNA阻害薬として、経口薬のオセルタミビルが米国で既に許可され、わが国でも治験が終了し、11月に厚生省中央薬事審議会の特別部会により承認された。
ザナミビルをはじめとするこれらの薬剤は、1999/2000シーズンに既に欧米で広く用いられており、優れた臨床効果が多数報告されている。

インフルエンザの診断と治療:今年の冬の最前線(たぶん!)

迅速診断がもたらす数々のメリット
今年もインフルエンザの流行シーズンが目前に迫ってきた。インフルエンザは小児では脳炎・脳症、高齢者では肺炎を併発して重症化することがあり、シーズン中は毎年のように、これら合併症による死者の発生が報じられる。
一方、「予防」「診断」「治療」の各面で近年、目覚ましい進展も見られているらしい。
特に迅速診断キットや新しい抗ウイルス薬の登場は、インフルエンザをいち早く確定診断し、適切な抗ウイルス薬投与による治療が可能になると期待されている。
A型B型両方が流行する場合、A型が時期的に先行する。ここ20年来、世界中で流行を繰り返しているインフルエンザウイルスは、A香港型(A/H3N2)、ソ連型(A/H1N1)、B型の 3 つだ。
インフルエンザの流行には、A型単独の場合とA型・B型が混合する場合とがある。同一シーズンにA型とB型の両方が流行する場合、時期的に先行するのは決まってA型で、A型の流行のピークが過ぎてからB型がピークに達するのが定型パターンになっている。しかし不思議なことに、B型とセットになるA型ウイルスは香港型であることが多い。このところ国内では、B型は隔年で出現する傾向が続いており、昨年はB型が流行しなかった。こうしたことから、今シーズンの流行について、B型とA香港型の両方がはやるのではないかと予測している(私が勝手に)。
このほか、A型とB型がはやるシーズンには、小児の罹患年齢に関しても特徴的な傾向があり、A型よりもB型にかかる子供の平均年齢が高いという。
この点、迅速診断キットはインフルエンザの正確な診断に有効である。インフルエンザは小児の脳炎・脳症や高齢者の肺炎などを合併する点で重大な問題を抱えている。高熱・頭痛・全身の倦怠感・筋肉や関節の痛みといった全身症状が急激に現れ、強い流行性を持つなどの点で、普通感冒とは異なっている。3 タイプいずれのウイルス感染でも重症例は存在するものの、だいたいA香港型>B型>Aソ連型の順に症状が強いという。
インフルエンザの診断で最も重要なのは臨床診断であろう。多くの特徴的な症状から「臨床診断は難しいことではない」と専門家は言うようである。正確な臨床診断を下すためには何よりインフルエンザの流行情報に敏感になる必要があるだろう。
感染症サーベイランス制度が定着し、地域の流行情報を即座に把握できる環境が整ってきた。治療や診断にはこうした情報を丹念に入手するなど常日ごろから情報収集が欠かせない。最近は、迅速診断キットが活用できるようにもなっている。A型ウイルスだけを診断することができるキットが出たのに続き、A型・B型の両方を診断することができるキット「インフルエンザOIAR」も上市された。
まだインフルエンザがは流行していない段階でも、インフルエンザではないかと疑う症例に出合った場合などに、こうした診断キットを使えば臨床診断の裏付けができる。インフルエンザOIARの場合だと、数時間程度であれば採取した検体の感受性が落ちるといったこともないため、診療を終えた後の時間を使って試すことも可能である。診断に要する時間も15分程度と短くて済む。
インフルエンザの検査法として従来保険適用とされてきた方法は、急性期から 1 週間以上の間隔で採取したペア血清でインフルエンザ抗体の動きを測定するものである。どうしても 1 〜 2 週間以上の時間を要したため、実際の診療現場ではあまり役に立ってはいなかったようだ。
A型インフルエンザ治療薬のアマンタジンは発病早期に投与することが最も効果的とされている。(インフルエンザ脳症のファーストチョイスとする医師もいる)また、インフルエンザ患者に対する適切な解熱鎮痛剤を選択する必要性(厚生省医薬品・医療用具等安全性情報158号。ジクロフェナクは脳症に至った場合禁忌とされた。これは、ジクロフェナクナトリウムが脳血管の修復に関与する酵素を阻害する作用が強いためとも言われている)からもインフルエンザとかぜを区別して確定診断することは重要な意味を持つであろう。素早く手軽に確定診断が下せるキットの登場は、こうした要請に応えることにつながる。
インフルエンザOIARのような検査キットよってA型・B型ともに診断できるようになったメリットも大きい。B型もA型と同じように重症化するうえ、B型の場合ワクチンの効果が弱いと指摘されているからだ。今後、A型B型両方に効く新薬が臨床の場に登場することになれば(タミフルやリレンザ等が承認されている。(予定も含む))そのメリットが最大限に生かされることが期待される。
A型からB型へ流行が移行する時期にB型インフルエンザを確定診断できる有用性にも着目でき、この時期は次第にアマンタジンが効かなくなるケースが増えてくる。流行のピークがB型に変わったのではないかと感じたときに確認することができるメリットもある。
前述したように,A型の治療薬としては現在,アマンタジンが使用されている。このアマンタジンに対して,A型とB型の両方に効果がある治療薬として注目されているのがノイラミニダーゼ阻害薬の吸入薬ザナミビル(リレンザ)と内服薬オセルタミビル(タミフル)だ。これらはインフルエンザウイルスのノイラミニダーゼ作用をブロックすることにより,他の細胞への感染を抑制する。両薬ともインフルエンザの予防効果も認められている。
以上のように、インフルエンザに関して、「予防」「診断」「治療」の新しい環境が整いつつある。しかし日本におけるインフルエンザに対する認識は十分ではないと感じるのは私だけではないだろう。ワクチン接種率が低率で推移して改善されないなど課題は山積している事からもうかがえる。(ワクチンは13歳以上1回投与のものが出てきた)
大事なのはワクチンなどに対する医療を提供する側の態度である。問題解決のために、医師や関係者の努力が引き続き必要である事は間違いない。

2000.11.14

突然真面目に語り

「医療」という言葉でが意味しているのは、生物の何かが壊れたときに直すことである。医療システムの中核にあるのは、これなのだ。だが、われわれは、自分自身の健康に対して責任を持つ段階に進む必要がある。そして、そのために必要な精神改革、これこそ、「健康管理」と「医療」との違いである。

21世紀の社会は、現在の医療の大半を占める選別型の治療業務をもう必要としないか、あるいは金銭的に維持できなくなるだろう。既にその気配があるのは周知の事実であり、保険財政はこのままいけば破綻は免れ得ない。理由の1つは、純粋に人口統計上のものだ。これからは高齢者が増える。彼らには相当な医療が必要になってくる。医療を行なう者の数は不足するだろう。また、医療予算が足りなくなることは言うまでもない。では、どうしたらいいか。つまりは、高齢者になる前、そして高齢者となった後も自分の健康状態を知り、自分自身の健康管理を的確に行う知識を身につければよいのである。

このサイトの運営方針も、今後こうした方向へ向かっていくだろう。

2000.11.13

評判のタイ○ノールについて

製薬業界日本ナンバー1の武田薬品工業が、ジョンソンアンドジョンソンと提携し、米国でもっとも売れていると言われる解熱鎮痛薬を国内で販売しはじめました。
あの強烈なCMは、みなさん脳裏に焼き付いているのではないでしょうか。
「イブさんごめんなさい、バファリンさんごめんなさい」
タ○レノール自身は、1錠中にアセトアミノフェンを300mg含んでいるだけなので、解熱鎮痛効果はイブやバファリンに遠く及ばないと思いますが、アセトアミノフェンのみを含有した製品はOTCとして日本で初めてとの事で、小児への投与等ができる等、評価できる点は多いと思います。
解熱鎮痛剤は強さに比例して胃を荒らしてしまう副作用を持つので、そういった意味では確かに胃にはやさしい、生理痛や頭痛、小児の発熱等の軽めの薬剤に仕上がっています。
タ○レノールには、タ○レノール細粒(レモン味の白い細粒剤、11歳〜14歳用)と、タ○レノール小児用(白いカプレット剤、11歳〜14歳用)、タ○レノールチュアブル小児用(イチゴ味の白いチュアブル錠、5歳〜14歳用、そして本家タ○レノールA錠の4種類のバリエーションがあります。
タ○レノールA錠は、カプセルの形をした白と青のツートンカラーの錠剤型をしています。
効能・効果ですが、頭痛、生理痛、歯痛、のどの痛み、耳の痛み、関節痛、神経痛、頭痛、筋肉痛、肩こり痛、打撲痛、骨折痛、ねんざ痛、外傷等の鎮痛にくわえ、悪寒、発熱時の解熱を発揮します。
なお、直接販売元の○田薬品に問い合わせした所、表面のコーティングはゼラチンを用い、より飲みやすい設計がなされているという事と、なぜカプセル型の錠剤なのかという問いには、以前はカプセル状だったのだが、タ○レノールのカプセルに青酸カリウムが混入されるという医療行為自体を否定するような事件があり、それ以来開けられないように錠剤タイプにし、ゼラチンでコーティングしたという返答がありました。なお、ゼラチンは、薬の苦みを防ぐという点においても有効です。崩壊性、吸収性に関しては、アセトアミノフェン単体の医家向け医薬品と同様であるとのデータも報告されています。
他の含有成分として、ラウリル硫酸塩、ソルビン酸塩、エデト酸塩、パラベン、青色1号を添加物として含みます。

2000.11.9

例のデクサトリム(フェニルプロパノールアミンを含む食欲抑制剤について)の件

11月6日、FDAは、塩酸フェニルプロパノールアミン(PPA)含有製剤の製造業者等に対して、これらの製品の販売中止を要請しました。塩酸フェニルプロパノールアミンはOTC薬の総合感冒剤・鎮咳剤あるいは(アメリカにおいては)食欲抑制薬に、また、医療薬にも含有されています。
今回の要請は、塩酸フェニルプロパノールアミン製剤使用患者において脳出血のリスクが高まったとの報告がなされたことによるものです。研究は、くも膜下出血または脳内出血のために入院した患者の使用薬剤を調査し、コントロール群と比較する方法で行われました。その結果、最終報告では、食欲抑制または鼻粘膜充血除去のためにフェニルプロパノールアミン製剤を使用してから3日以内の女性患者において、脳出血のリスクが高まったとの結果となりました。この研究で報告されているのは女性におけるリスク上昇でありますが、男性においても同様のリスクの可能性があるとしました。
FDAは、脳出血の発現頻度は非常に低いものの、重篤な副作用であり、発現が予測できないことを考慮した上で、フェニルプロパノールアミンはOTCとして安全とはいえないと判断し、いずれは、医薬品の成分から除外する方向で進めています。
同時に、FDAは消費者に対してもフェニルプロパノールアミン含有製品の危険性について注意喚起し、フェニルプロパノールアミンを含有しない製品に変更するように呼びかけています。
英語が読める人用:Phenylpropanolamine (PPA) Information Page

掲示板でも話題になりましたが、このフェニルプロパノールアミンによる脳血管障害に関して、FDAの販売中止要請を受け、日本薬剤師会は7日、塩酸フェニルプロパノールアミン(PPA)含有医薬品の販売中止を関係メーカーに要請した米国FDAの対応をふまえて、日本薬剤師会会員に対して、同薬を販売する際には十分な使用上の注意を説明するよう、適正使用の徹底を求める文書を緊急にFAXで送付したとの事です。

ですが、日本薬剤師会は、フェニルプロパノールアミンが食欲抑制剤として認可されている米国と異なり、国内では市販薬の適応が風邪などの一時的な服用にとどまることや、平成8年に同薬の使用上の注意が改訂されて以降、厚生省には副作用報告が寄せられていないことから、国内における同薬服用による危険性は低いとみて、使用回避までは踏み込まない考えであるとのこと。今後の対応については厚生省の中央薬事審議会の検討結果を待つ事になるそうです。

特定保健用食品と栄養機能食品に2分類

厚生省の食品衛生調査会合同部会が8日に開かれ、保健機能食品を個別許可型の「特定保健用食品(特保)」と規格基準型の「栄養機能食品」に2分類し、それぞれ個別に表示するという新たな保健機能食品制度を創設することが提案され検討が行われた模様。20日に開かれる同部会で最終報告書としてまとめ、その後、パブリックコメントを経た後、来年に薬事食品衛生審議会を開き最終報告書としてまとめるそうです。省令改正、通知を経て来年4月には施行される予定。

従来、特保と栄養機能食品は包括して「いわゆる栄養補助食品」と総称されてきましたが、この名称では特保が持つ機能などを網羅できないという理由から「保健機能食品」制度とし、新たにスタートさせるというもの。特定保健用食品が身体機能に栄養を与えて健康の維持・増進に寄与する働きがある一方で、栄養補助食品という言葉には、補助、補完という意味合いが強くあり、総合的な意味を網羅する意味でほかの名称が必要とされたためだそうです。

保健機能食品制度の特徴は、栄養機能食品の栄養素の配合限度量として、栄養機能食品の栄養素の配合限度量として上限値と下限値を表示すること。また、栄養機能食品には栄養機能表示を行うことや、特保の形状として錠剤やカプセルを使用することを認めるほか、カプセルや錠剤などに使用できる賦形剤、乳化剤などの添加物について、食品添加物指針で指定し規制することなども特徴となっている。

栄養機能食品に対象となりうる成分

ビタミン(A、D、E、B1、B2、B6、B12、C、葉酸、ビオチン、パントテン酸)とミネラル(カルシウム、鉄)の一四成分とされ、「カルシウムは骨や歯の形成に必要な栄養素です」などの栄養素機能表示を行うことが認められるようになります。

ハーブ類について

これらは作用の強いものから弱いものまで範囲が広範なことから栄養機能食品にはなじまないとされ、今回は対象から外され、当面は個別許可型の特定保健用食品で対応することが適当とされた。また、「この食品はカルシウムを多く含み、将来の骨粗鬆症の危険度を減らします」などの疾病リスク低減表示を行うことは時期尚早とされ、コーデックスなどの国際動向を踏まえつつ、今後の検討課題とされた。

一方、個別に審査され特保として認定された食品は、「血圧を正常に保つことを助ける食品です」「便通を良好にする食品です」などの保健用途の表示を行うことが認められます。

2000.11.8

Ephedraやハーブ系の体重減少作用に対する警鐘

Weight loss is a big business in the United States: Consumers spend an estimated $33 billion on weight-loss services and products.

One such product, "herbal" phen-fen, contains a combination of ephedra and the herb St. John's wort. Herbal phen-fen is filling the gap left when two prescription weight loss drugs--fenfluramine "fen" (Pondimin) and dexfenfluramine (Redux)--were taken off the market in 1997 because of dangerous side effects including heart-valve damage. The demand for weight-loss products is great. But do the risks outweigh the benefits? And how is the government responding to consumers concerns?

Because the 1994 Dietary Supplement Health and Education Act (DSHEA) became law, herbal supplements do not have to undergo clinical studies to determine their effectiveness, safety, possible interactions, and appropriate dosages. "No one has tested ephedrine for interactions with other drugs," says Dr. Woosley and adds, "There may be serious interactions between ephedrine and other drugs. It is impossible to predict the full range of consequences."

In 1997, responding to consumer concerns, FDA proposed to stop the marketing of ephedra supplements containing additional ingredients known to act as stimulants, such as caffeine, and limit usage to less than 24 milligrams per day, for no more than 7 days. But is there really a "safe" dose? Dr. Woosley says, "I do not recommend any dose or duration of ephedrine as a dietary supplement because there are no data demonstrating that there is any medical or health benefit from any dose or duration of ephedrine when used as a dietary supplement."

Individual US states are doing something about potential safety concerns. According to Cynthia Culmo, a registered pharmacist and representative for the Association of Food and Drug Officials, "Texas now has two sets of regulations regarding dietary supplements that contain ephedrine." She continues, "The first set was effective November 1, 1999, and requires warnings and cautions to be on the product labels, prohibits the use of synthetic ephedrine, and requires product labels to list the amount of all stimulants. A second set of rules was adopted in June 2000 and prohibits the sale of these products to minors."

 

You may be interested in losing a few pounds and you have heard that there are herbal products that might help. But is there an easy way to lose weight that is also safe and effective?

Safety is the big question concerning herbal supplements that contain ephedra and the related products ephedrine and pseudoephedrine--all of which are being hyped for their potential ability to help you lose weight, increase metabolism, and burn fat. Since 1993, the Food and Drug Administration (FDA) has received more than 800 reports of harmful effects, including heart attack, seizure, and stroke, from US consumers who have used dietary supplements containing ephedra products.

So, should you take a gamble? Raymond Woosley, MD, PhD, chairman of the department of pharmacology at Georgetown University Medical Center and outside expert consultant for the FDA, says, "If one of my patients told me that they were taking ephedra products, I would fully explain the risk and strongly encourage them to stop."

Ephedra, also known as ma huang, is an herbal supplement that has been used for centuries throughout China to treat symptoms of the common cold, asthma, and bronchitis. Ephedra products like ephedrine and pseudoephedrine stimulate the heart and central nervous system.

まぁ、ほどほどにしなさいって事です。

認知障害程度に応じて海馬が萎縮する

正常な認知能を持つ高齢者からアルツハイマー病(AD)の疑いがある高齢者まで、海馬萎縮率は基礎認知状態およびその変化と一致することが判明した。
高齢者の認知力の分類は、概念上、正常に機能している者(対照群)、軽症の認知障害の者(MCI群)とADの疑いがある者(AD群)の 3 種類に分かれる。
このデータに関する実験は、各群(対照群,MCI群,AD群)では試験開始日の機能とその後の変化した機能のいずれの機能に関しても海馬萎縮年率は異なるという仮説を検討するために行われた。
全被験者は、登録時と 3 年後の臨床追跡調査時に正常対照群、MCI群かAD群の基準を満たすよう分類された。
各被験者には,登録時と追跡調査時の 2 回、頭部のMRI検査を行い、海馬容積の年率変化を計算した。登録時に対照群やMCI群として割り付けられた被験者は、認知的に安定するか認知機能低下群へ移行した。
登録時の各群のなかで、海馬容積損失の年率は、AD群、MCI群、対照群の順に次第に減少していった。対照群とMCI群で、臨床的に悪化した被験者は、安定した者よりも海馬容積に顕著な損失率が確認され、各群の追跡調査による年平均萎縮率は、対照群−安定1.73%、対照群−悪化2.81%、MCI群−安定2.55%、MCI群−悪化3.69%、AD群3.5%であった。

卵ってすごいぞ

アルツハイマー型痴呆の原因の一つは、脳内のアセチルコリン作動系の機能低下にあると言われている。
レシチンや卵黄ホスファチジルコリンは生体内のアセチルコリン生成の原料であり、ビタミンB12との併用摂取は低下したアセチルコリンの機能を賦活し、脳機能の改善がみられると報告されている。
鶏卵は、これらの成分を豊富に含んでいるためスマートドラッグとして活用される事が期待できる。

卵黄コリン+ビタミンB12は脳機能を賦活・改善し、スマートドラッグとして機能する?

アルツハイマー型痴呆とは、アセチルコリン作動系が減少することにより脳機能が低下した状態である。そのため、アセチルコリン系を分解する酵素であるコリンエステラーゼの阻害(アセチルコリンエステラーゼ阻害薬:アリセプト等)、あるいはアセチルコリン系そのものの増強(アセチルコリン系賦活薬)が治療の柱となっている。
例えば、卵黄ホスファチジルコリン(卵黄コリン)、すなわちレシチンなどは生体内でアセチルコリンの生成原料であり、これらの経口摂取によるアルツハイマー型老年痴呆の改善効果が報告されているのはスマドラーのみなさんには周知の事実である。
さらに、卵黄コリンとビタミンB12との併用は、より脳機能に対する効果を及ぼすと言われている。
そこで、某実験データから軽度〜高度の老年期痴呆患者10例(アルツハイマー型痴呆9例および脳血管性痴呆患者1例)を対象に、卵黄コリン(5g)+ビタミンB12(50μg)を含む食品を1日2回食事とともに摂取、4週間ごとに評価し、12週間後に最終評価を行ったデータを見てみる事にする。
MENFIS*は46.7から42.0へと改善を示しているが、MMSE**およびHDS-R***などの知的機能評価では有意差は認められなかった。

* MENFIS : Mental Function Impairment Scale
** MMSE : Mini Mental State Examination
*** HDSミR : Revised Hasegawa's Dementia Scal

痴呆に対する薬剤の評価については、これまで米国を中心に各種知的機能評価による点数化が重要視される傾向にあった。しかしながら、痴呆例では調査や各種テストによる信頼できる評価は難しく、必ずしも点数化されたものが客観的評価にはなり得ない。このデータでは、12週目の観察では77.8%に「軽度改善」以上の効果が得られ、概括安全度、有用性、全般改善性などの総合評価もきわめて良好であった。

卵黄は脳内アセチルコリン系の原料の供給源として活用できる

アルツハイマー型老年痴呆の治療は、初期の進行を止めること、そして脳の老化を防止することにある。 以上の検討で脳機能改善の主役を担った卵黄コリンは卵黄のリン脂質の約85%を占め、同時に鶏卵はビタミンB12を豊富に含有している。さまざまな栄養価がバランス良く含まれるだけでなく、とくに高齢者については脳機能老化の防止につながる点が十分に評価できる(若年者でもピラセタム等との併用によって効果を高める事はもちろん、痴呆予防効果も期待できる)。ただし、一度に多くを摂取するのではなく、十分量を長く維持することが肝要である。